政枝敏朗もの語り

まえがき 「桜の散るころ、ホスピスで」

神田優紀さんのブログ(2010年04月29日)をご紹介します。

このブログは、その月に一番感動したこと、心に残ったこと、 伝えたいことを書くことにしている。 ライター業とは、人の意向に沿った文章を書くことが仕事。 常に黒子に徹しているので、個人ブログくらいは、 自分の書きたいように書こうと思っている。

4月は公私ともにいろんなことがあって、出会いや感動も多かった。 その中でも、今月の一番は、ホスピスへ取材に行ったこと。 ちょうど、桜の花が散り始めた頃だった。 2週間ほど前のことなのに、随分時間が経ったように感じるのは、 今では木々が新緑に姿を変えているからだろう

「ホスピスに入院中の理事に、インタビューをしてもらえませんか?」 現在、起業物語の小冊子制作を依頼されているANGから、4月半ばに メールが入った。 ANG(エンジェル・ネットワーク・グループ)とは、 2008年に創立された起業家支援団体である。 起業物語制作にあたって取材を予定していたのは、代表理事、事務局、 成功事例者の方たちだった。

これは、よっぽどのことだろう…。 ホスピスに入院中の方の想いを聴く――。 伝える者として、とても身の引き締まる思いがした。

その翌週、聖ヨハネ病院(北九州市小倉北区下到津)を訪ね、 2回に渡って病床で政枝理事のお話を伺った。 聖ヨハネ病院に行くのは2年ぶり。 「福祉ジャーナル」の仕事で、セラピー犬のドナルドくんを 取材したことがある 当時の記事が、今も院内に掲示されており、とてもうれしかった。

今回の取材は、「ANGの起業物語を制作するためのヒアリング」という 名目だが、「夢や希望を語ることで、政枝理事に元気になってほしい…」 という願いが込められていた。

政枝理事は、「少しでもANGのお役に立てるなら」と、 苦しい状態でありながら、快く取材に応じてくださった。 お互いが相手のためを思う気持ちが、びんびん伝わってきて、 この時間を一分たりとも無駄に使ってはいけないと思った。

ANG創業者・ダイワライフの大城社長との出会い、ご自身の経験、 起業家に伝えたいこと、将来の夢など、真摯な想いを淡々と語って くださった。

銀行員を経て、建設会社へ入社し、実績を伸ばして社長になるが、 バブル崩壊の影響で倒産。 その後、法律の面から社会的弱者を守るために、50代で行政書士の 資格を取得。 「起業家を支援したい」という大城社長の純粋な志に共感し、 自分が盾となって守り、脇役に徹して支えていこうと決めた政枝理事。

ANG創業に欠かすことのできない人物だ。 実直なお人柄で、飾り気のない一言ひとことが胸に響いた。 「経営で一番大切なことは、何だと思われますか?」 という質問に対して、少し考えてから、きっぱりと答えられた。 「経営で一番大切なのは、人として当たり前のことです。 物を大切にしたり、人を大切にしたり、嘘を言わないこと」  実体験からにじみ出た言葉だった。

社会貢献と人間の尊厳を大切にする世の中であり、 顧客満足を基盤とした経営によって経済が健全に循環すること。 政枝理事が描く理想の社会は、まさに私の切実な願いでもある。

看病していたお母さまと、帰り際に話をしたとき、思わずお互いに涙が出た。 ANGの起業物語に先駆けて、急いで今回のインタビュー記事を まとめた。ご本人の語り口調で書きあげ、タイトルを付けた。 A4で4ページほどの原稿を、見出しを付けてA5版縦書きにレイアウト すると、ちょっとした小冊子になった。

『政枝敏朗 もの語り ~ANG創業期を支えた名脇役~』
ANG理事・政枝敏朗が語る、出会い・経験・夢――。

誰もが自分の人生の主役。 これからも、人知れずファインプレーをしている人の想いと行い、 そして感動を伝え続けたい。

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